超音波ワイヤーボンディングの代替手段
バッテリーモジュールで相互接合を行う場合、レーザー溶接は従来のワイヤーボンディングよりも高速です。円筒型電池では、バスバーをワイヤーで接合する代わりに直接電池に溶接することもでき、モジュール内の溶接数が半分になります。また、シングルモードファイバーレーザーは、スパッタを最小限に抑え、発熱を減らし、優秀で制御された溶接浸透を実現します。
超音波溶接システムは、用途ごとに専用に設計されたソノトロードを使用して、単純な形状に限定されるのに対し、Laseraxの溶接システムはその場で調整して、さまざまな溶接パターンやサイズを作成することができます。
バッテリー溶接用途の概要:
- 素材: 銅、ニッケル、アルミニウム、ニッケルメッキ鋼、ステンレス鋼。
- 電池の種類:パウチ型、円筒型、プリズム状溶接
- バッテリー構成部品:缶、端子、フォイル、バスバー、電池ケース、安全弁、カバー板
最速の溶接プロセス
セルとバスバーを接合する場合、超音波ワイヤーボンディングは通常、溶接1回あたり500~1000msを要します。レーザー溶接は機械的な動きが少なく、よりスムーズなので非常に高速です。レーザービームを位置決めするために移動する必要があるのは、レーザーヘッドに配置された超高速ミラーだけです。このため、各溶接の位置決め時間が大幅に短縮されます。当社のロボットと組み合わせると、セル間の機械的な移動を含めた平均溶接時間は、1セルあたり100ms秒以下に達します。
バスバーの厚み* | レーザー出力 | 抵抗(µΩ) | 力(N) | 時間(ms) | プラスタブへの浸透の深さ(µm) |
---|---|---|---|---|---|
125µm | 100W | 17.6 | 77 | 40 | 50 |
200W | 16.3 | 68 | 20 | 78 | |
200µm | 200W | 11.7 | 238 | 30 | 60 |
300W | 16.6 | 243 | 15 | 28 | |
300µm | 200W | 19 | 257 | 40 | 37 |
300W | 18.4 | 262 | 20 | 35 |
*プラスタブの厚みは500ミクロンでした。
革命的な効率性
溶接速度が速いため、当社の単一レーザー溶接機は10台分の超音波ワイヤーボンディング装置を使用しているように簡単に作業を行うことができます。そのため、生産施設で必要なマシンの数が最小限に抑えられ、次のことが可能になります。
- 使用面積の節約
- 省エネ
- メンテナンス頻度の減少
円筒型電池:溶接4回から2回
超音波ワイヤーボンディングでは通常、セルあたり4回の溶接が必要であるのに対し、レーザー溶接では2回のみです。これにはメリットがいくつかあります。
- 広範囲の接地面積
- 潜在的な不具合ポイントの半減
- 1回の溶接ですべての電流が流れる(溶接あたりの電流が高くなる)
- モジュールに伝達される機械的応力の減少
- より少ない抵抗力(熱損失・電気損失の低減)
- より良い電流供給
- セルからバスバー伝導体へのより良い熱伝達
パルスレーザー溶接プロセス
連続レーザーは、素材に深く浸透させることができるため、これまで産業用レーザー溶接に使用されてきました。しかし、バッテリー溶接に関しては、パルスレーザーに以下のような重要なメリットがあります。
- 抵抗値の低い強力な溶接部
- 最小の浸透深さ(100μm未満)
- 溶接熱影響部の最小化
Laseraxを使用する場合、レーザーエキスパートがレーザーの光学構成部品とパラメーターを、お客様の特定の用途に合わせて最適化します。当社独自のプロセスで、これまでの他のパルスレーザーよりも優れた結果を生み出します。より具体的な項目を以下に挙げます。
- より小さな溶接熱影響部
- より浅く、浸透しない溶接