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レーザークラスとレーザーの安全性:知っておくべきこと

authorIcon 2020年1月17日、Julie Maltais topicIcon レーザー安全性

レーザー技術は、安全性の高いレーザーポインターから非常に強力なレーザーマーキングおよびクリーニングシステムまで、幅広い可能性を提供します。レーザーの中には、皮膚に損傷を与えたり、目に深刻な傷を負わせたり、職場を発火させたりするほど強力なものもあります。このため、政府機関や国際機関は、レーザーシステムを危険の発生能力に応じて安全クラスに分ける厳しい基準を設けています。

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先に進む前に、レーザーとはなんでしょうか?レーザーという言葉は1959年に米国の物理学者ゴードン・グールドによって作られたもので、言葉自体は「誘導放出を利用した光の発振・増幅器」の頭文字を取ったものです。光増幅により、レーザーシステムは豊富なエネルギーの高濃度光線を生成します。

レーザークラスの説明

このページでは、さまざまなレーザー規格とレーザーの危険性について説明します。その前に、レーザーにはどのようなクラスがあるのでしょうか?また、クラスを区別するものはなんでしょうか?

簡単にするために、IEC 60825-1国際規格に規定されている改訂レーザー分類体系に焦点を当てます。米国では、ANSI Z136.1(旧システム)が現在も使用されており、非常によく似ています。

クラス1レーザー

クラス1レーザーは、長時間の使用や、光学機器での使用においても、すべての動作において目に安全です。このようなレーザーは通常、非常に低い出力(数マイクロワット)で動作します。

より高いクラス(クラス3または4など)の産業用マーキングシステムは、それらを安全に密閉すれば、よくクラス1に下げられます(これは組込型レーザーと呼ばれます)。例えばレーザープリンターは、クラス4レーザーをプリンターに密閉して使用します。そのため、クラス1のレーザー製品とみなされており、通常の動作時や損傷がない限り、予防措置を講じる必要はありません。

クラス1レーザー製品の例:

クラス1Mレーザー

クラス1Mレーザー(または、クラス1「拡大」)は、一般的に肉眼で見ても安全なため、クラス1レーザーによく似ています。

では、クラス1レーザーとの違いは何でしょうか?

双眼鏡などの光学機器で拡大したビームを見ると危険な場合があります(度付きを除く)。ビームは増幅されるため、最大許容露出(見ても安全と考えられる最大出力密度)を超えます。

半導体レーザー、ファイバー通信システム、レーザー速度計はクラス1Mレーザーです。

クラス2レーザー

瞬目反射によって、正常な状態では0.25秒以上、危険な波長(および可視波長)を見ることはありません。本能に逆らわない限り、レーザービームは視覚にとって安全です。目を怪我するのは、意図的に凝視する場合だけです。

レーザーは、レーザー光が可視の場合にのみクラス2に分類します。これが重要なのは、瞬目反射やその他の嫌悪反応(頭の動きなど)が誘発されないためです。

通常クラス2レーザーは、連続波レーザーの場合は1 mWに制限されます(ただし、特定の状況ではそれ以上になる可能性もあります)。旧分類体系では、照射時間が1000秒を超える場合にのみ有害となるサブクラスとして、クラスIIaレーザーがあります。

クラス2Mレーザー

クラス2Mレーザーは、通常安全です。クラス2レーザーと同様に、瞬目反射により増幅されていないビームから目を保護します。しかし、光学機器を使ってビームを見た場合(たとえ誤って見てしまった場合でも)、瞬目反射だけでは目のけがを防ぐことはできません。暴露が短時間でも有害な場合があります。

クラス3Rレーザー

レーザーポインターやレーザースキャナーなどのクラス3Rレーザーシステムは、前述のクラスよりも安全上のリスクが高くなっていますが、慎重に扱えば安全であると考えられています。特に光学機器を使用している場合は、ビームを直接見ると目を傷つけることがあります。しかし一般的には、短時間の露出では目に害はありません(許容される露出時間は波長によって異なります)。

ビームへの暴露は低リスクですが潜在的に危険であるため、クラス3Rレーザー製品は適切な警告ラベルで識別されなければなりません(これはより高いクラスのレーザーにも当てはまります)。古い分類システムを使用している場合、クラスIIIaレーザー(またはクラス3a)は本質的に同じであると思ってください。

レーザー安全クラス

クラス3Bレーザー

レーザービームまたは3Bレーザーの鏡面反射との直接接触は避けなければなりません。眼のけがや皮膚の小さなやけどを引き起こす場合があります。

クラス3Bレーザーでは、乱反射のみが安全です。

クラス3Bレーザーに許容される放出限界を把握するには、次の被ばく放出限界(AEL)を参照してください。

  • 波長が315nmと遠赤外線の間であれば、連続波レーザーは0.5ワットを超えることはできません。
  • パルスレーザーは、可視レーザー光の範囲内(400~700nm)であれば、30ミリジュールを超えることはできません。

エンターテインメントライトショーは、このカテゴリに分類されます。古い分類システムを使用している場合、クラス3BはクラスIIIbと同じです。

クラス4レーザー

クラス4は、最も危険なレーザーです。レーザーが適切に密閉されていない場合は、細心の注意を払って作業を行ってください。

クラス4レーザー製品の出力は非常に高く、素材に火を付けることができます。その出力はレーザー切断、レーザーマーキング、レーザー溶接、レーザークリーニングを行う際に強力な利点となります。

クラス4はレーザーの危険性に関して最高クラスです。危険区域内にいると、目や皮膚に深刻な損傷を受ける可能性があります。また、火災の危険を防止するため、レーザーの周囲に可燃物を置かないでください。

クラス4レーザーの乱反射も危険です。加工中のワークピースを見ているだけで日焼けしたり、目が見えなくなったりします。

意識するポイントとしては、警告ラベルに注意を払い、必要に応じて保護具を着用し、レーザーの安全性における追加の管理措置に従うようにします。

幸いなことにクラス4レーザーは、適切に密閉すると本質的に無害の状態にすることができます。例えば、Laserax製の自動レーザーマーカーは、クラス1レーザー製品ですが、20ワットから500ワットの範囲の高出力レーザーシステムを搭載しています。

各レーザークラスの危険度が明らかになったところで、危険の種類を見てみましょう。

レーザーの危険性の違い

レーザー照射は、目、皮膚、火災の3つの基本的なレーザー光線による障害を引き起こす可能性があります。

レーザーシステムがクラス1に準拠していない場合、作業者は危険ゾーンに入るときに保護具(目を保護するためのレーザー安全メガネ、皮膚を保護するための特別な衣服)を着用する必要があります。

目のけが

レーザー光線による障害の中では、目の損傷が最も深刻です。視力を失うことは些細なことではありません。目のけがが起こる原因、またどうすればそれらを防止することができるのかを見ていきましょう。

光が目に達すると、角膜と水晶体が増幅器の役割を果たします。拡大鏡のように、網膜(目の奥)に光を集め、その後、脳で画像として処理されます。人間の目を構成するこれら3つ(角膜、水晶体、網膜)の部位は、レーザー照射による損傷を最も受けやすい器官です。

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あらゆる種類のレーザー光が目に害を及ぼす可能性がありますが、人間の目には、一部の波長の光により強く反応するさまざまな部位があります。ほとんどのレーザー刻印機は、近赤外線(700~2000nm)と遠赤外線(4000nm~11,000nm以上)のスペクトルの光を生成しますが、これらはすべて人間の目には見えません。

可視光線の一部は、水晶体や角膜で増幅される前に目で吸収されます。こうして光の出力を抑えることで保護します。

しかし、赤外線は目に見えず、目にも吸収されません。目に見えない光が網膜に達する場合、目に見える光よりも強力で危険です。

このすべてのエネルギーが網膜の小さな領域を焼くことに消費されるため、失明や重度の眼障害を引き起こします。また、400nm未満の波長(紫外線領域)でも光化学的被害が発生する可能性があるため、白内障(視力低下)を引き起こすことがあります。

レーザーゴーグルのような保護メガネは、危険な光を吸収して使用者を守ります。ゴーグルの種類によって吸収する波長が異なるため、レーザーシステムに適したゴーグルを着用する必要があります。例えば、Laseraxファイバーレーザーシステムでは、1064nmの波長から保護するゴーグルが必要です。

皮膚障害

もしストーブに触れるに目か手のどちらかを選べるとしたら、おそらく手を選ぶでしょう。このことを考えると、目の損傷の方が皮膚の損傷よりも深刻である理由は簡単に理解できます。しかし、皮膚の火傷リスクは依然として重要視する必要があります。

レーザービームに直接触れたり、鏡面反射を受けたりすると、皮膚が損傷することがあります。このようなけがは、ストーブに触れたときのような熱的損傷や、日焼けのような光化学的損傷によって引き起こされるのが一般的です。火傷の程度は、レーザーの出力、波長、患部の大きさ、照射時間によって異なります。

火災の危険性

レーザー光は健康被害だけでなく、火災を引き起こし、職場環境を危険にさらすこともあります。

唯一クラス4レーザーが、火災の安全性に関わります。直接の光線だけでなく、あらゆる反射も可燃物を発火させる可能性があります。安全な統合のためには、レーザーを適切に密閉し、乱反射を含むあらゆる反射角を考慮しなければならなりません。

レーザー標準の概要

レーザー標準が最初に制定されたのは、低出力のレーザーでも危険な可能性があることを科学者たちが認識した時です。こういった標準は健康や火災の危険を防止するため、適切なレーザー安全対策を指定しています。

すべての標準では、異なるクラス、特定のレーザーパラメーターの計算方法、適切なラベル、レーザーを取り扱う際の安全対策などを説明しています。また、直接レーザー光、鏡面反射、乱反射が危険な場所を定義する公称危険ゾーンのような安全対策も規定しています。

レーザー標準リソース:

  • レーザー分類の国際標準はIEC 60825-1です。
  • 北米でこれに該当する標準はANSI Z136です。
  • 米国では、FDAが連邦規則集の21条(21 CFR 1040)でレーザー製品を規制しています。
  • FDAは2007年にNotice No.50、2019年にNotice No.56を発行し、IEC 60825-1に適合するレーザー製品には異議を唱えないと述べています。

レーザーを購入する前に

レーザー製品を購入する場合は、クラス1レーザーマシンを購入するか、またはクラス4レーザーシステムがクラス1に準拠していることを確認するインテグレーターと協力する必要があります。Laseraxでは、レーザーエキスパートが、レーザーによるフューム抽出を含め、すべての製品が100%のレーザー安全性を満たすことを確認するガイダンスを提供しています。

レーザー安全クラスの概要については、レーザー安全クラス分類表を参照してください。

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Julie Maltais

物理工学分野で研さんを積んだJulieは、Laseraxのレーザースペシャリストです。彼女は、クライアントが必要とする適切なレーザーソリューションを決定するために、クライアントのテストを調整しています。また、レーザー安全責任者でもあり、工場や研究所のレーザーセキュリティを担当しています。