この技術文書では、500WのLXQ‐HPレーザーテクスチャリングシステムを用いたLaseraxによる試験で得られたテクスチャリング速度を紹介しています。鋼やアルミニウムのような金属に必要な一般的なレベルの表面粗さ (Ra)において、異なる出力レベルでテクスチャリング速度を測定しました。
LXQ-HPシリーズには、Laserax社が開発し製造したレーザーテクスチャリングシステムが搭載されていて、レーザー出力は最大500Wです。システムのパラメータを変更して、さまざまな粗さレベルとパターンを生成できます。
表面テクスチャリング
レーザーテクスチャリングは、表面の前処理とテクスチャリングに使用します。この技術は非常に精度が高く、完全自動化または半自動化できます。金属表面の粗さを変更することにより、レーザーテクスチャリングで以下が可能になります。
- コーティングまたは接着剤の塗布前に付着性が向上
- 塗料やコーティングの寿命の延伸
- 湿潤性の向上
- 電気伝導性と熱伝導性の調節
- 摩擦の調節
レーザーテクスチャリングは、グリットブラスト加工やショットブラストなどのブラスト加工に取って代わる優れた手段でもあり、次のようなメリットがあります。
- 研磨溶剤不要
- 運用コストの削減
- より少ないメンテナンス頻度
- より清潔
- より安全
- 自動化が容易
表面洗浄
同じレーザーシステムを使用して、表面をクリーニングし、レーザーテクスチャリング用に前処理して、塗料、酸化物、粉塵、錆、ミルスケールなどの汚染物質を除去することができます。
テクスチャリング速度
レーザシステムのテクスチャリング速度は、ご希望の粗さレベル (Ra)、レーザパワー、テクスチャリングを施した素材の3つの重要な因子の影響を受けます。
次の表は、一般的な合金のテクスチャリング速度を表しています。
Ra | 100 W | 200 W | 300 W | 500 W |
3 µm | 2–3 | 4–8 | 5–12 | 7–20 |
6µm | 1–2 | 3–5 | 4–8 | 6–12 |
12µm | 0.4–1 | 1.2–2 | 1.8–4 | 3–6 |
Ra | 100 W | 200 W | 300 W | 500 W |
3 µm | 2–9 | 4–17 | 6–25 | 9–42 |
6µm | 2–6 | 4–9 | 5–13 | 8–21 |
12µm | 1–2 | 2–4 | 3–7 | 4–10 |
テクスチャリングの種類
レーザーテクスチャリングを行うと、金属表面にさまざまなパターンを作成し、例えば接着特性などに影響を与えることができます。ラインパターンとホールパターンは、一般的なテクスチャリングの種類です。次のSEM (走査型電子顕微鏡)画像は、テクスチャリングが施された表面がどのように見えるかを表しています。
ラインパターン(溝) |
ホールパターン(ディンプル) |