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レーザークリーナー:知っておくべきこと

authorIcon 2022年7月29日、Alex Fraser topicIcon レーザー洗浄

レーザークリーニングシステムは、化学洗浄やブラスト加工のような従来の表面洗浄方法に代わる優れた方法として普及しつつあります。レーザークリーニングは、より安定感のある結果を提供し、環境に優しく費用対効果の高いソリューションとしてきれいな金属表面を必要とするメーカーからますます注目を集めています。

錆、塗料、酸化物、またはコーティングの除去のいずれの用途であっても、レーザーは基材を損傷することなく汚染物質を除去することができます。非接触プロセスとして、レーザークリーニングは工業用レーザークリーナーに理想的なメンテナンス頻度の低い方法です。

5種類のレーザークリーナー

レーザークリーニングにはいくつかの種類があります。適している方法を知ることは容易ではありません。ここでは、違いを理解するのに役立つ概要を説明します。

ハンディ式レーザークリーナー 

ハンディ式レーザークリーナーハンディ式レーザークリーニングシステムは、ホイール上のワークステーションです。多くの人が考えるハンディ式機器のサイズよりも大きいものの、それでも簡単に移動させることができます。オペレーターが保持する「ガン」は、必要に応じて大きなワークピース上の任意のエリアに届くように配置できます。これらの機器は、さまざまな形状やサイズの複数の部品を処理する必要がある小規模生産に適しています。

ハンディ式レーザークリーナーには、レーザー錆の除去、塗料の除去、腐食の除去など、特定の作業を手動で選択できるレーザー構成を装備しています。すべてのタイプのレーザークリーナーと同様に、汚染物質、厚さ、基材によって異なる構成が必要です。

ハンディ式機器では、レーザービームが密閉されていないためレーザーの安全性がより複雑になります。作業員の安全確保には、特別な予防措置を講じる必要があります。推奨のレーザー安全機能には、デュアルアクション安全ガード、リモートインターロック、灯による警告、レーザー用保護めがね、警告標識のある隔離された作業エリア、および安全に使用するためのトレーニングが含まれます。安全衛生の観点から、多くの企業では職場でのクラス4ハンディ式レーザーの使用を禁止しています。

手動設置レーザークリーニングワークステーション

レーザークリーニングワークステーションは、個人用保護具を着用しないオペレーターの安全を100%保証しながら、完全に手動で操作することができます。オペレーターには部品を機械に置き、レーザー処理を開始する責任があります。また、扉を開く、テーブルの回転をオンにする、固定具を管理するなど、ワークステーションの種類に応じて他のタスクを実行する必要がある場合も発生します。

手動ワークステーションには、高い処理要件を満たすためにロータリーテーブルを搭載することができます。生産ラインに直接設置することも、ライン外に設置することも可能です。

コンベア式レーザークリーナー

コンベア式クリーニング設備レーザークリーナーをコンベアに直接設置すると、溶接やコーティングなどの作業前に汚染物質の除去と表面のテクスチャリングを自動化し、1ステップで完全な表面の前処理を行うことができます。高度な機能を使用して、部品配置の不整合を自動的に管理したり、洗浄が必要な複数のエリアがある大きな部品を処理することができます。

バッテリー生産ラインのように、コンベアを使用して多くの部品をある生産工程から別の生産工程に移動させる自動車産業で特に有用です。コンベア式レーザークリーナーは、コンベアの寸法に合わせて調整されます。

ロボットレーザークリーナー

レーザークリーニングシステムをロボットに搭載しているため、ロボットセル内の洗浄作業を自動化できます。高度なオートフォーカスシステムを搭載しているため、複雑な部品を高精度に洗浄することができます。ロボットの高い自由度により、レーザーは簡単な自動調整でさまざまな形状を洗浄することができます。

超高出力レーザーを搭載した場合、ロボットクリーナーは広範囲の面の洗浄を自動化することもできます。

OEMレーザークリーニングシステム

LXQファイバーレーザーマーカーレーザークリーニングシステムシステムとレーザークリーナーの違いは常に明確というわけではありません。レーザークリーニングシステムはOEMデバイスであり、通常はシステムインテグレーターや機械メーカーの助けを借りて、完全なカスタムソリューションに統合することができます。一方、レーザークリーナーは、生産ラインにすぐに組み込めるようにあらかじめ設計されたソリューションです。

適切なレーザーオプションの選択

レーザークリーニング技術は、産業用洗浄作業において非常に高い汎用性があります。Laseraxでは、メーカーと連携を取り、生産ラインに組み込むことが可能なターンキー式クリーニングソリューションを提供しています。レーザー機器を選ぶ際に、理解する必要のある最も重要な機能を紹介します。

レーザー出力

レーザー出力はワットで表します。パルスレーザーは連続的にエネルギーを放出するわけではないため、レーザービームを通して放出されるエネルギーの平均量を表しています。クリーニング用途におけるパルスファイバーレーザーは、熱影響部を最小限に限定して汚染物質を除去する高エネルギーサージに到達することができます。例えば、100Wのパルスファイバーレーザークリーニングシステムは、最大出力10,000Wのレーザービームをパルス照射することができます。

レーザー出力が高ければ高いほど、レーザークリーニングプロセスは速くなります。最も強力かつ効率的なレーザーは一般的にマルチモードレーザーであり、その超高出力レーザーは、最も要求の厳しい用途において3,000Wの出力に達することができます。 

レーザー安全性

安全は決してオプションではありません。レーザークリーナーを選ぶ際に確実に確認すべき項目です。レーザー機器は通常、作業の安全性を確保し、北米や欧州連合を含む世界中の安全規制を満たすために、クラス1レーザー安全エンクロージャを必要とします。

製品がクラス1定格の場合、個人用保護具は必要ありません。ハンディ機器を使用している場合、製品はクラス4で追加の個人用保護具が必要な可能性があります。

ヒューム抽出

発生源で汚染物質を抽出するために配置されたヒューム抽出ノズル汚染物質が除去されると、粉塵やヒュームとして空気中に飛散します。作業員を守り、作業場を清潔に保つためには、空気中の汚染物質を抽出する必要があります。これは、有害物質が空気中に放出される塗料剥離の用途において特に重要です。 

レーザーヒューム抽出器は、レーザーの種類に関係なく、次の機能を備えている必要があります。

  • 発生源で収集するために配置されたヒューム抽出ノズル
  • 電力線通信で自動化された安全対策
  • 汚染物質の種類に応じた適切なフィルターと抽出ユニット 

マルチモードvsシングルモードレーザー

市場に出回っているレーザークリーナーは、表面をより速く洗浄するためマルチモードがほとんどです。これは、マルチモードレーザーの方がシングルモードレーザーよりも光ファイバーコアが大きいことが要因です。これは、スポットサイズが大きく、レーザービームがより広い表面積にわたってパルス化されることを意味します。またマルチモードレーザーは、シングルモードレーザーよりも高出力レベルに達し、一度に多くのエネルギーを発生させることができます。

しかし、シングルモードレーザーは表面を洗浄することもテクスチャリングすることもできるため、ボンディングやコーティング用途に完全な表面の前処理を提供します。これは、レーザービームの焦点がより合っているためです。より狭い面積により多くのエネルギーを集中させるため、シングルモードレーザーは金属表面をエッチングし、接着性を向上させるテクスチャリングを行うことができます。しかし、シングルモードレーザーは、深さの変動(焦点深度)に対する許容度が低いため、曲面処理を行う場合、安定した焦点の調節がより複雑になります。

ファイバーケーブル長

ロボットアームやハンディ式機器に取り付けたレーザークリーナーを使用する場合は、ファイバーケーブルの長さに注意する必要があります。長くすると動きの自由度が増加しますが、各レーザーパルスのエネルギー量(mJ)が減少します。ケーブルが長いほど、エネルギー損失も大きくなります。 

マルチモードレーザーではより長いケーブルを使用できますが、ケーブルが長すぎると洗浄処理が遅くなるか、良好な生産ペースを維持するためにより強力な(そして高価な)レーザーを選択せざるを得なくなります。

レーザークリーニングの仕組みは?

レーザークリーニングは、レーザーアブレーションによって汚染物質を粉塵やヒュームとして飛散させて除去します。レーザービームが表面に当たると、そのエネルギーの一部が金属表面に吸収され、残りは反射されます。 

汚染物質は、アブレーション閾値に達するのに十分なエネルギーを吸収すると飛散します。金属表面のアブレーション閾値は、汚染物質の閾値よりも高いため、基材は処理の影響を受けません。 

産業用途でのレーザークリーニングのメリット

レーザークリーニングは、表面処理や前処理の選択肢として、さまざまな産業用途で使用されています。レーザークリーナーは動作に消耗品を必要とせず、自動化が容易で、製品品質を向上させ、投資収益率が高いことが理由として挙げられます。

レーザークリーニングの使用目的:

  • レーザー溶接、超音波ボンディング、またはその他の接合方法のための表面の前処理
  • 酸化物、コーティング、電解質、粉塵など、あらゆる種類の汚染物質の除去
  • 表面を洗浄してテクスチャリングする、接着接合や溶射コーティングなどの処理における表面前処理
  • 基板コーティング、リン酸塩コーティング、パウダーコーティングの除去 
  • サンドブラストのような汚染物質を生み出す方法の改良手段
  • など

レーザー機器を選ぶ際の考慮事項

レーザークリーナーを選ぶ際に、お客様のニーズについてエキスパートとの検討時に役立つ情報をいくつか紹介します。

  • 洗浄が必要な表面積と形状
  • 基材と汚染物質の種類
  • 汚染物質の厚さ
  • 必要なクリーニング時間の目安
  • 製造プロセスにおける後工程

これで、レーザープロバイダーはお客様の用途を十分に理解し、ニーズに合わせたソリューションを提案できるようになります。 

お客様の用途を教えてください

 

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Alex Fraser

レーザー加工における博士号を持つAlexは、Laseraxを設立した2人のレーザーエキスパートの1人です。現在は副社長兼最高技術責任者として、レーザーマーキング、洗浄、テクスチャリング、溶接用途のレーザー工程を開発するチームを監督しています。